株式会社カネカ 滋賀工場

裁断工程における裁断計画立案

カネカがMathCuttingを導入した工程は、「裁断工程」と呼ばれる工程です。この工程は、前工程で生産したフィルムをお客様の要求に応じて、必要な幅/長さに裁断して製品化する受注生産型に近い工程です。MathCutting導入前は、材料の選定、生産系列選定、裁断の方法や順序等を決定しながら生産計画に落とし込んでいく業務に、担当者が毎日1日中縛られ、他の業務対応ができないまま計画立案のみに専念せざるをえないような状況でした。在庫データ確認やその連携が煩雑なために時間がかかる、無駄な品種切り替えにより生産性が低下する、裁断しやすい材料(フィルム)を選択しがちになるために選択されなかった材料は長期在庫化になりがちになる等、「人」による判断では、解決すべき課題および問題に対応できないまま、裁断計画立案が高負荷業務として存在していました。MathCuttingは、カネカ滋賀工場でポリイミドフィルムを生産している製造部署において「生産計画立案と材料引当業務」を効率化するため導入されました。ポリイミドフィルムは、スマートフォンおよびタブレットの部材として広く使用されている材料です。カネカでは、多くのグレードをラインナップしています。マーケットの変化は比較的波が大きく、お客様からのご注文数量の浮き沈みも激しいものになります。このお客様の要求にタイムリーに応えることがカネカの責務でありますが、その為には品質情報を含めた在庫状況や生産律速等、複数のファクターを総合的に捉えて適格に判断し、納期遵守を実現し、生産効率を上げるための生産計画立案業務が必要になります。

数理最適化技術への今後の取り組み

365 日稼働している製造業において、市場変動(注文変動)および操業変動等の複雑な制約条件に対応した最適な生産計画立案およびタイムリーな工程管理は、益々、企業の競争力の源泉となっていくはずです。人に委ねるしかないと思っていた故に発想が至らず、これまで多面的な分析・評価による新たな判断、価値に繋がらないことも、多く残されている場合もあります。最適なプラント制御および生産計画立案等の領域において、数理最適化技術を更に活用して業務を高度化してくために、カネカは、継続して適用すべき技術検討とその適用をし続けていきます。カネカでは、Gurobi Optimizer に代表される数理最適化技術と AI(機械学習)は、将来の重要技術(ブレークスルーテクノロジ)として位置付けています。 数理最適化技術は、Gurobi Optimizer の出現で、より現実的なソリューションになってきています。IoT、AI、DX が進む中で、ありとあらゆる事業・業務で必要な技術だと思うので、ぜひ多くの企業にトライしていただきたいと思っています。「一筋縄ではいかない」と印象付けずに、まずは、果敢にチャレンジすることが大事ではないかとカネカは考えます。業務ルールおよび手順の決定、データ群を整備しさえすれば、最適化システムは、必ず一定以上の判断をしてくれるはずです。出力された解をどのように活用するのかは人の判断が必要な場面も残ると思いますが、人と技術の融合は引き続き大切なことだとカネカは考えています。

MathCutting 導入とその成果

カネカは、DX推進の一環として、全社的に AI・デジタル技術を駆使した業務の効率化および働き方改革を進める中、MathCutting を導入した業務は、まさに、それらを推進するための好ターゲットでした。「短時間で正確に、裁断生産計画をつくれないか」という視点から検討を進めていく中で、作業時間短縮、納期管理強化、既存データの有効活用等、MathCutting が多くを実現してくれるという結論に至り、導入を決定しました。 MathCutting 導入の結果、裁断工程の裁断計画立案に費やす時間を大幅に削減することが出来ました。計算結果についても、人による判断以上の精度が得られ、無駄な設備停止が軽減され生産増の効果を得たこと、材料フィルムの先入先出しによる長期在庫の削減、長期在庫検査工数の削減等も見込めるものと、MathCutting の導入の成果を評価しています。削減された 1 名分の工数については、その他の業務およびDX推進等、より高度な業務へ活躍の場を広げる事に繋がっているので、単なる人員の工数削減にとどまらず、担当者に新たな活躍の場を与える機会にもなっています。

Gurobi Optimizer について

Gurobi Optimizerは、線形計画(LP)、混合整数線形計画(MILP)、二次計画(QP)、二次制約(QCP) 、混合整数二次計画(MIQP)、混合整数二次制約(MIQCP)のための最新鋭のアルゴリズムを搭載した数理最適化ソルバーです。Gurobi Optimizerは、40を超える産業の2,500を超える世界中の企業が、より的確な意思決定を実現するためのツールとして採用しています。ビジネス上の問題を解決すべき可能性ある解の中から最適な解をユーザに提供する Gurobi Optimizer は、多くの戦略的アプリケーションのコア技術として多くの企業の意思決定を支援しています。

MathCutting について

オクトーバー・スカイのMathCuttingは、世界最高の数理最適化ソルバーGurobi Optimizer を組み込んだ最適裁断計画のフレームワーク製品です。MathCuttingは、カッティング・ストック(裁断計画)問題を扱うことに特化しています。カッティング・ストック問題とは、母材料(ストック)から様々なサイズの製品を顧客の注文に応じて切り出していく問題のこと。 鉄鋼、製紙、化学、繊維、製造等の多くの産業分野で、顧客の小さなサイズの注文を、より大きなサイズの単位で製造したいという要請から生じています。Gurobi Optimizerをベーステクノロジーに持ち、オクトーバー・スカイの高度なモデル化技術に支えられたMathCuttingにより、今まで時間をかけて人が計画立案をしていた難しい裁断計画であっても、誰もが、容易に最適な裁断計画の立案ができるようになります。


株式会社カネカ 滋賀工場
 PI製造グループ 製品課 管理チーム
  後列左から、奥野 久志氏、武田 満之氏、牧野 明夫氏
  前列左から、矢ヶ瀬 まなみ氏、馬場 祐希氏、山本 真巳氏

株式会社カネカ の Web サイト:
https://www.kaneka.co.jp/

株式会社カネカ 滋賀工場


カネカは、1949年創業以来、人と技術の創造的融合により、時代や環境の変化を乗り越え成長を遂げてきました。カネカが生み出した数多くの製品は、人々の豊かな生活に欠かせない商品に使用され、事業はライフサイエンスから食品へと幅広い分野に及び、世界中の人々の暮らしに様々な価値を提供し続けています。「カガクで ネガイを カナエル会社」、「もっと、驚く、みらいへ」を目指す企業として、お客様や社会とつながる未来作りにカネカは邁進しています。
カネカの滋賀工場は、滋賀県大津市「琵琶湖の畔、比叡山の麓」という自然豊かで歴史的なロケーションにあり、地域社会と共生しながら、「化学技術をベースとしたユニークなエレクロトニクス素材」の開発・生産をしています。滋賀工場で開発・生産している製品は、超耐熱性ポリイミドフィルム、光学用透明フィルム等で、スマートフォン、ディスプレイ等の情報・通信機器に幅広く実装されている素材です。情報通信5Gの展開はもとより、DXが今後益々進んでいく社会の中で、カネカは、その製品と工場の進化をし続けながら、人々の暮らしに役立つ素材およびソリューションを、世界へ向けて継続的に提供すべく日々活動をしています。

参考製品